前回のプロジェクトの成功率についての Survey に続き、国際的な Survey の結果紹介です。
2003年に IEEE から出された Michael Cusumano らによる国際的 Survey
2001年から2002年の間に以下の組織を対象に調査。
- インド
- Motorola India Electronics、Infosys、Tata Consulting、Patni Computing
- 日本
- 日立、NEC、IBM日本、NTTデータ、SRA、松下電器、オムロン、富士ゼロックス、オリンパス
- アメリカ
- IBM、HewlettPackard、Sun Microsystems、Microsoft、Siebel Systems、AT&T、Fidelity Investments、Merrill Lynch、Lockheed Martin、TRW
- ヨーロッパ
- シーメンス、Business Objects、ノキア
サンプルは104のプロジェクトで、組込やエンタープライズ、社内プロジェクトなど様々。新規案件や改修案件なども混ざる。
プラクティス
利用しているプラクティスは以下の統計とのこと。
インド | 日本 | アメリカ | ヨーロッパ | |
---|---|---|---|---|
プロジェクト数 | 24 | 27 | 31 | 22 |
アーキテクチャ仕様書 | 83.3% | 70.4% | 54.8% | 72.4% |
機能仕様書 | 95.8% | 92.6% | 74.2% | 81.8% |
詳細仕様書 | 100.0% | 85.2% | 32.3% | 68.2% |
設計レビュー | 100.0% | 100.0% | 77.4% | 77.3% |
コードレビュー | 95.8% | 74.1% | 71.0% | 81.8% |
サブサイクル | 79.2% | 44.4% | 54.8% | 86.4% |
サブサイクルは非ウォータフォールととらえていいと思います。論文上は「synch-and-stabilize モデル」として説明されています。
2001年〜2002年の調査なのでまだまだウォータフォール型全盛ですね。
パフォーマンス
プロジェクトの生産性と欠陥率です。
- プログラマー月間の生産量(LOC)
- 顧客への出荷後1年間における1,000行のコードごとに報告された欠陥の数
日本とヨーロッパの生産性が高い値。 米国では詳細設計しながらコーディングしているから低いのか?
米国の品質が飛び抜けて悪い。比べて日本が飛び抜けて良い。という結果。
1990年の調査では、生産性は、米国で245、日本で389 ということで、10年前の結果と似た結果となっている。欠陥率は、米国で0.83、日本で0.20だったとのことで大きく改善しているような数字となっています。
まとめ
かなり古い調査結果ですが、世界的に見て日本のパフォーマンスが異常に良い、というか米国が異常に悪いという結果でした。
ただ、サンプル数がかなり少ない上に、著者らも言っていますが、詳細なデータの提出を求めたために、きっちり管理されたプロジェクトが対象となり、現実より良い結果になっている可能性があります。
なので、こんな調査結果もあるんだー ぐらいですね。